【今月の駄話】パ・リーグ人気の秘訣はYouTubeにあり?野球系YouTubeを考察してみる
2021/12/09
eupy TIMESでは、その月の世の中の話題から、コンテンツマーケティングやプロモーション、コミュニケーション戦略について考察する『今月の駄話』をスタートさせます。
初回となる2021年11月は、ユーフォニー代表の木村と、コンテンツ制作パートナーのTの2人でお送りします。
コンテンツマーケティングの王道的戦略を行く『パ・リーグTV』
【T】:2021年11月のまとめを進めて行きたいと思います。11月になってから、夕方以降の木村さんの返信が遅くなりましたよね(笑)
【木村】:完全に、プロ野球の影響ですね(苦笑) 子供の時以来、25年ぶりぐらいに贔屓のチームがいる暮らしを満喫していました。
【T】:オリックス・バファローズの野球が面白いって、ずっと話していましたよね。仕事をしながらだと、結果を追い続けるのは難しくないですか?
【木村】:リアルタイムで画面に張り付いていたのは、リーグ終盤の数試合とポストシーズンだけですよ。それ以外は、ダイジェストやニュースなどを中心にチェックしていました。Tさんは、『パ・リーグTV』というYouTubeチャンネルはご存じですか?
【T】:たまに、レコメンドで出てくるので名前は知っています。あまり見ていないですが……。
【木村】:「パテレ」と呼ばれている、プロ野球ファン、パ・リーグファンの方にはお馴染みのチャンネルです。パ・リーグの試合の配信サービス『パ・リーグTV』が運営しているんですけど、このチャンネルが良いんですよ。
【T】:配信サービス事業者が運営するYouTubeチャンネルなら、“サービスに契約してもらうためのプロモーション”という位置づけですよね。見ていて、消化不良になったりしませんか?
【木村】:私には、「パテレ」の温度感は丁度良かったですよ。野球って団体競技でありながら、その中でも個人競技的な側面も大きいスポーツじゃないですか?その両面を踏まえた上での、試合の切り取り方が上手なんですよ。
【T】:確かに、応援しているチームが負けても、贔屓の選手がホームランを打っていたら、満足できる面があったりしますよね。具体的には、どんな部分が良かったのですか?
【木村】:1つ目はダイジェスト。これはJリーグのYouTubeチャンネルなんかでもアップされていますけど、その日の全試合ごとに5分前後のハイライトを配信してくれる。これを見ているだけでも、チームの状況や状態の良い選手が何となく把握できるので、親近感の沸き方が違いました。
プロ野球は約半年、143試合という長丁場なので、楽に情報を追いかけられるのは非常に助かりますよね。
【T】:私の子供の頃は、TVのニュース番組内のスポーツコーナーぐらいしかハイライトが無かったので、こんなボリュームで取り上げられるのは大事な試合ぐらいでしたね。毎試合きちんとハイライトがあると、それだけでも入ってくる情報の量が、まったく違ってきますよね。
【木村】:そうですよね。いわゆるスター選手以外のプレーを目にする機会が、圧倒的に増えると思います。メディアの仕事をしてきたTさんなら分かると思いますけど、尺の関係からどうしても、派手な方を中心に扱いがちと言うか……
【T】:“マス”を意識するから、話題性で選びがちになりますよね……。制作に関わっていると、キャッチーさによる安定感と、新しい発見による喜びみたいなモノとのさじ加減で、難しさを感じる場面は多いですね。
【木村】:もちろん、「パテレ」もスター選手を扱う機会が多いんですけど、それだけに留まらない部分を感じさせてくれます。それが、もう1つの丁度良い部分になるんですけど、企画性が面白い。ハイライト以外で配信されている動画の切り口が良いんです。
これは野球の持つ“個人競技的な側面”にフォーカスしている事が多いんですけど、例えば、「【飛び込まなくても】辰己涼介『守備の美学を体現する』【滑り込まなくても】」というタイトル。
【T】:それだけで、辰己選手の特徴が分かりますね。
【木村】:こういう視点からの動画は、プロ野球への興味が強くなり始めたばかりの人や、私のような復活組には、新しい選手を知るきっかけになるので、間口を広げる役割も担ってくれます。これってコンテンツマーケティングを行う上で、大事なことなんですよね。
【T】:プロ野球と聞くと公共性の高いスポーツであり、エンターテインメントですけど、パ・リーグTVというサービスから見ると、YouTubeを使ったコンテンツマーケティングですもんね。
【木村】:もちろんスター選手の圧倒的なパフォーマンスも醍醐味ではあるんですけど、今年で言えばオリンピックなどで、既に十分に注目されています。それだけでは、サービスの契約に至っていない人に対して、未来のスター候補やベテランのいぶし銀のプレーという違う部分の魅力を伝えるのは、プロ野球の楽しみ方自体を提案することになっていると思います。
【T】:高校野球やアイドルカルチャーのように、“若手の成長物語”が好きな国民性もありますしね。
【木村】:一緒に育てるとか、見守っていくというのも、現代のブランドづくりに通じる部分がありますよね。そういう意味では、オリックスの高卒2年目の紅林弘太郎選手にスポットを当てた『紅林の成長に目を細くする会』というタイトルは、現代的だしファン心をくすぐるなと感じました。
プロ野球OBの炎上動画 制作スタッフはこう見る
【T】:野球関連のYouTubeだと、多くのOBがチャンネルを立ち上げていますよね。昔見た名場面の裏話なんかも聞けるから、オールドファンにはたまらないですよね。
【木村】:個人的には「昔は良かった」で終わらずに、現代の選手たちをリスペクトしているOBの話を聞くと、自分もきちんとアップデートしなければと刺激を受けますね。
【T】:OBの中では、差別的な発言で炎上する人もいましたね……。あれは制作側の人間としては、考える事が多くありました。
【木村】:大前提として、差別発言をした本人が“時代に合わせたアップデートが出来ていない”という問題はありますけど、本人が撮影・編集・配信を1人でしているわけでは無いでしょうからね。
【T】:企画や構成・演出を考えたり、技術的な部分を担うだけが、制作スタッフではないですからね。不特定多数が触れるものに対して、フィルターとしての役割も果たさなければならない。
【木村】:一時代を築いた往年の名選手に対して、言いにくい部分はあると思いますけど、差別的な発言に対しては、意見を出来る存在でありたいですよね。ただ、これは自社で動画を作っている企業のYouTubeなんかでも、起こりうる話だと思うんです。
【T】:社長や上司といった立場が上の人が失言したとして、現場にいる従業員が果たして止められるのかという事ですよね。
【木村】:意見を言いやすい環境か否かという面もありますが、「何が炎上に繋がりやすいか?」を即座に判断できる経験値を持っているかという点も大きく影響しますからね。普段から、言葉や表現に対してのアンテナを張っていないと難しいのかなと思いますね。
【T】:差別的な発言を容認は出来ませんが、「そういう不安をお持ちの企業の方は、ぜひユーフォニーにご依頼ください」ということですかね(笑)
【木村】:最悪の場合に備えた、フィルターの役割は果たさせていただきます(笑)
Profile
株式会社ユーフォニー
人のため、社会のために生み出された結晶をコンテンツを通じて必要としている人たちに届けるお手伝いをする会社。コンテンツによって企業やサービスに付加価値を与え、ブランド力の向上を図るとともに、発信した情報によって人や社会に貢献していくことをミッションにしています。