【今月の駄話】KFC ChickenStockから考える フリー素材の効果的な使い方

2022/04/28

その月の世の中の話題から、コンテンツマーケティングやプロモーション、コミュニケーション戦略について考察する『今月の駄話』。2022年3月の振り返りは、ユーフォニー代表・木村とコンテンツ制作パートナー・Tの2人でお送りします。

マイナス要素をプラスに転化するバズ手法「KFC ChickenStock」

【T】: 3月と言えば卒業シーズンですね。でも、私にとっては花粉症が辛くて、なかなか集中力が保てない時期でした……。

【木村】:みんなマスクを着けているので、花粉症の人が目立ちにくくなってしまいましたけど、Tさんは花粉症でしたね。

【T】:この2年ほどは、花粉症対策でマスクをしていても浮かなくなりましたね。花粉症の話はさて置き、2022年3月を振り返りましょう。

【木村】:3月に見た中で面白い取り組みだなと思ったのが、ケンタッキーフライドチキン(KFC)がストック画像サービスを開始したという話題です。

KFC ChickenStock:https://chickenstock.net/

【T】:ケンタッキーの商品画像が、超高画質でダウンロード出来るんですね。ただ、あまりの反響で、サイトがダウンしていますね……。(2022年4月25日現在)

ケンタッキーといえば、これまでもチキンを宇宙に飛ばしたりしていて、話題作りが上手ですよね。

【木村】:今回も、企画の趣旨説明が絶妙ですよね。

「画像を無断で使用する他の飲食店が多くあります。せっかく美味しい商品なので、キレイに見えるものをどうぞお使いください。ただし、ケンタッキーの味は出せませんけど。」

要約するとこんな感じです。

【T】:無断で使用されているケースが、本当に多いのか定かではありませんが、ユーモアセンスを感じます。

【木村】:無断使用対策としては、裁判や批判的なコメントを出すという選択肢もありますけど、それだと市場にマイナスイメージを与える可能性もありますから、このメッセージの出し方はうまいですよね。

【T】:実際に画像を使っている飲食店が、本当の意味でのライバル企業だったら法的な争いになるでしょうけど、個人経営のお店ならそこまで目くじらを立てることも無いのかもしれないですね。

【木村】:マイナス要素を逆手に取るという手法は、バズ狙いのプロモーションとしては常套手段の1つですし、これまでのKFCの手法の延長線に、きちんと乗っている印象ですよね。

このやり方は、高価格帯の商品や限定感のあるものにはマッチしないので、参考にする上ではPRしたいものとの相性の見極めは重要だと思います。

クリエイティブ目線でのフォトストックの使い方

【T】:KFC ChickenStockの素材を利用するケースがどれぐらい出てくるか分かりませんが、高画質のストックフォトは重宝しそうです。

【木村】:制作者にとっては、選べる素材が多いに越したことはないですもんね。ただ個人的には、KFC ChickenStockの場合は本気の広告で使われる事はほとんど無いように感じています。

【T】:現時点でダウンロード出来ないですしね……。

【木村】:それもありますが、自社のPRに他社の画像をわざわざ使う理由は無いですからね。

【T】:フライドチキン屋さんが他社の製品を使って広告を作ったとなると、実物と違うのでクレームも起きますよね。そう考えると、確かに同業他社が本気で使うケースは無さそうです。

【木村】:だから、KFC ChickenStockを使うケースで目立ちそうなのは、パロディ的なものかアート作品で上手く使われた場合なのかなと想像しています。

クリエイティブ目線で考えると、ストックサービスは便利なものの、使用するのに最適な場所は限られるんですよ。既視感のある素材も多いですし、何よりも「他者も使っている」ということを前提にする必要があるんですよ。

【T】:確かに、Webサイトを開いた時のファーストビューやディスプレイ広告の画像が、「どこかで見た事があるもの」だと、残念な印象を持ってしまいますね。

【木村】:そこは製品やサービスを伝えるための”最初の接触場所”なので、こだわった方が良いでしょうね。でも、それ以外の部分だとフリー素材も効果的に使えますよ。

弊社が携わった中だと、Webサイト内の「メンバー」ページのサムネイルに、フリー素材の人物写真を使ったことがあります。メンバーの顔出しをしないという中での制作だったので、そういうケースでは役に立ちました。

他にも動画の中で補足説明が必要な際に、フリー素材やクリエイティブ・コモンズ・ライセンスが付与されている画像を使う事も多いので、“メインでは無いけれども必要”という部分には、重宝すると思います。

【T】:最近はテレビ番組でもストックフォトの画像を使うケースもありますし、Webマガジンでも記事のアイキャッチにフリー素材を使っていたりしますよね。

【木村】:そうですね。ただ “既視感”や“いかにも感”というのは付いて回るので、Webマガジンのアイキャッチでフリー素材を使うのは、あまりオススメしないです……。

 

(T、フリー素材がアイキャッチになった記事を見る)

【T】:記事の印象が画像に引っ張られる感じがあるので、内容が少し安っぽく見えますね。

【木村】:SEOを考えると画像が必要だったりするので、フリー素材に頼りたくなる気持ちも分かかるのですが、どこかインスタントな感じがしますよね。

スマートフォンでパっと撮った写真でも構わないので、何らかの意図を含んだオリジナルの画像を使うようにすると、熱量の伝わり方が変わってくると思いますよ。

【T】:身近なものを撮影するだけだったら、気の利いたフリー素材を探すのより短時間で済んだりしますしね。

【木村】:真剣に素材を探すと、意外と時間がかかりますからね。

SEOという”入口を考える”戦略も、もちろん大事だと思います。でも、”出口に繋がる部分”への意識を持ちながら制作をしていくとクリエイティブの質を高めやすいので、一歩目としてフリー素材の使い方を考えてみてもらいたいですね。

Profile

株式会社ユーフォニー

人のため、社会のために生み出された結晶をコンテンツを通じて必要としている人たちに届けるお手伝いをする会社。コンテンツによって企業やサービスに付加価値を与え、ブランド力の向上を図るとともに、発信した情報によって人や社会に貢献していくことをミッションにしています。